日本地球化学会年会要旨集
2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
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G12 初期地球と生命起源の地球化学
リボースの安定性に対するカオリナイトの影響
*新田 あゆみ古川 善博掛川 武
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p. 306-

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抄録

リボースはRNAを作るために必要不可欠な糖である。リボースは通常、水溶液中で非常に分解しやすいが、高濃度ホウ酸存在下では安定して存在することが明らかになっている。ただ、実際の初期地球環境におけるホウ酸濃集環境には、粘土鉱物など様々な鉱物が共存している。そのため、より実際の環境に近づけてリボースの安定性を評価するためには、ホウ酸の効果だけでなく、粘土鉱物の効果を明らかにすることが必要不可欠である。そこで本研究では、リボースの安定性に対する粘土鉱物カオリナイトの影響を明らかにすることを目的とした。塩基性条件下でカオリナイトの加熱実験を行い、実験溶液中のリボースの濃度の時間変化について比較すると、ホウ酸を含む溶液、ホウ酸を含まない溶液の両方で、カオリナイトを加えた量に応じて、リボースの分解速度が低下した。よって、塩基性の水溶液中でカオリナイトはリボースの分解を抑制する効果があることが明らかとなった。

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