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東京電力福島第一原子力発電所事故では、一部の放射性セシウムがケイ酸塩ガラスを主成分とする微粒子(以下放射性微粒子)として放出されたことが明らかになってきた。この放射性微粒子には直径1~2 μm程度の球状のガラスに0.1~5 Bq程度の放射性セシウムが含まれており、水溶性の放射性セシウムを吸着した土壌粒子に比べ、粒子あたりの放射能が1~2桁高くなっている。放射性微粒子は水に難溶であるが、事故から4年経過後に環境中で採取された粒子には、風化により表面が変質した痕跡が認めらており、放射性微粒子が環境中にどのくらいの期間残存し続けるかを明らかにすることは重要と思われる。そこで本研究では、放射性微粒子の環境中での寿命とそこからの放射性セシウムの溶出挙動を明らかにするために、環境中から採取した放射性微粒子を用いて純水中での溶解実験を行った。