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エアロゾル中の人為起源鉄は高い溶解性を持つため、海水中の鉄の供給源として注目されている。人為起源鉄は自然起源鉄よりも低い鉄同位体比を持ち、その原因として①起源物質の低い同位体比と②燃焼過程での同位体分別を考え、人為起源鉄の主要な発生源である野焼きと製鉄所付近で採取した粒径分画エアロゾル中の鉄同位体比と化学種の分析を行った。野焼き時の微小粒子中の鉄はアルミノケイ酸塩が主成分であり、土壌からの寄与が大きいことが予想された。実際、鉄同位体比は土壌に近い値を示し、植物由来の鉄の寄与は小さかった。製鉄所由来のエアロゾルは(水)酸化鉄を多く含み、同位体比は微小粒子で-2から-3‰と鉄鉱石よりも低い値を示した。これは製鉄所内での高温燃焼の際の気化に伴う同位体分別によるものだと考えられる。この人為起源鉄が持つ低い同位体比を指標とすることで海洋大気における人為起源鉄の寄与が明らかになると期待される。