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西部北太平洋亜寒帯域から熱帯域までを対象に、SCMに下層から供給されるDFe:Nフラックスを評価し、さらに植物プランクトンの増殖制限要因を明らかにすることを試みた。結果として亜熱帯域・熱帯域のDFe:Nフラックスは、Fe制限の亜寒帯域よりも低かった。そこで「亜熱帯域や熱帯域のSCMは鉄制限になっている」と仮説を立て、亜寒帯域の測点と亜熱帯域の測点で培養実験を行った。培養系列はControl (C), +Fe, +Light (+L), +Fe+L とした。光を加えた全ての系列でChl.a濃度が高くなった。亜寒帯域はCのΔSi:ΔNが他の系列よりも高かったことから、亜寒帯域のSCMは鉄と光の共制限であると考えられた。また亜熱帯域では+Lと+Fe+Lで植物プランクトンの増殖量に違いがなかったため、鉄制限でないことが示唆され、亜寒帯域よりも鉄要求量が少ない植物プランクトン群集が多いと予想された。