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大阪平野の活断層近傍に出現する水銀汚染地下水とフィリピン海プレートの沈み込みに伴うスラブ流体脱水との関係を考察するために、南海トラフの堆積物(海底面直下〜2200m)と地下水中の水銀の濃度と安定同位体比を分析した。その結果、堆積物中の水銀濃度は、火山灰を多く含む1試料(海底面下深度2150 m、850 ppb)を除いて、30〜140ppbであった。δ202Hgは-0.8〜-0.2‰、δ199Hgは-0.2〜+0.05‰で、わずかに質量依存同位体分別による変動を示す。地下水試料(5点)の同位体比は、δ202Hgは-0.8〜-0.4‰、δ199Hgは-1.0〜-0.5‰であった。これらの同位体比の範囲は、地質由来の水銀の値に等しい。堆積物と地下水に含まれる水銀は同じ起源であり、プレート収束域でリサイクルしているのかもしれない。