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宇宙線照射による惑星物質表面での核破砕反応に伴い二次的に発生した中性子は,周囲原子とのカスケード衝突により中~低速中性子,熱外中性子を経て熱中性子化される.熱中性子化の度合いは,惑星物質の大きさ,化学組成 (特に含水量) に強く依存することから,惑星物質内での詳細な中性子エネルギースペクトルを復元することにより,惑星物質の宇宙環境における形状の変遷,化学組成の変化,かつて水が存在していた可能性について言及できる可能性がある.本研究では,熱中性子と捕獲反応を起こしやすい149Sm,155Gd,157Gd,熱外中性子と捕獲反応を起こしやすい162Dy,167Er,168Ybに着目し,アポロ計画により月面から採取されたドリルコア試料A-15についてSm,Gd,Dy,Er,Ybの一連の同位体比データから月面の中性子エネルギースペクトルを評価することを目的とする.