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バクテリア中の酵素が触媒する6価ウランの4価への還元では、4価ウランに重い同位体が分別するのに対し、非生物を触媒とした場合には、こうした分別が見られない。この事実を用いて、古代に堆積した地質中のウランの同位体比から、その時代の生物活動を理解する事が期待されている。しかし、ウラン還元における同位体分別のメカニズムは解明されていない。そこで本研究では、バクテリアによる生物性の還元に焦点を当て、熱的平衡を仮定して分別の指標である同位体分別係数εを計算した。還元経路としては、酵素残基に結合したウラン二核錯体を形成し、酵素からの電子移動や不均化を経て還元されるという経路を考えた。還元経路における全素反応が平衡であると仮定して計算した、出発物質であるUO2(CO3)34-と生成物である非晶質CaU(PO4)2間でのεは、実験値を3倍以上過大評価していた。そのため、いずれかの素反応で非平衡的な分別が起きている可能性が示唆された。