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我々はベンゼン、ナフタレンなどの芳香族化合物、アミノ酸のアラニンなどさまざまな有機化合物が室温・高圧力下で縮合反応を起こすことを報告してきた。特に反応系に水が共存する場合は、高圧下で氷の高圧相VIIが析出し、凍結濃縮機構によって反応が促進される可能性がある。このように水(氷)が共存する系において、高圧下でさまざまな有機反応が起こるため、氷天体内部が新たな分子進化の場となる可能性がある。本研究では、メタノールと酢酸との間の高圧下エステル化反応に着目し、高圧下で氷VIIが生成する条件での結果について報告する。エステル化反応は平衡反応であるため、通常は平衡定数で規定される量の生成物が得られるが、本実験ではエステル化反応で生じた水分子が氷VII相に取り込まれ、平衡系から除外されたため完全に反応が進行したと考えられる。