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始原的な隕石である炭素コンドライトには多種の有機化合物が含まれている.隕石アミノ酸の中でも非タンパクアミノ酸からL体光学異性体過剰が検出されたことから,地球生命のL体アミノ酸の起源は地球外との仮説もある.最近の研究によりアミノ酸以外の隕石有機物の光学異性体過剰が報告されている.本研究では,Murchison隕石粉末試料をジクロロメタン抽出物およびその残渣を誘導体化し,光学活性固定相カラムを用いたガスクロマトグラフィー質量分析により,光学異性体化合物の検出・分離を行った.検出したすべてのアミンとアルコール光学異性体化合物は,マスクロマトグラムからほぼラセミ体であった.さらに,未知な光学異性体化合物が発見されたため,その化学構造と光学異性体分布を明らかにする.