秋季の東シナ海および本州南岸沖において採取されたエアロゾル粒子に対して電子顕微鏡による個別粒子分析を行い、金属元素を含むエアロゾル粒子の内部混合状態を調査した。硫黄含有粒子が微小粒子の大部分を占めていたが、その形態や混合状態は試料毎に大きく異なった。陸起源気塊の影響を受けた試料では5割以上の粒子が不揮発性粒子と内部混合していた。不揮発性粒子はスス、フライアッシュ、金属粒子、海塩粒子など様々で、金属粒子には、鉄、アルミニウム、鉛、マンガン、亜鉛などが含まれた。鉄含有粒子は気塊の輸送起源に依らず散見された。鉄粒子はより粒径が大きく吸湿性の高い硫黄含有粒子と内部混合することで、湿性除去され易くなり、海洋生態系に影響を及ぼす影響が大きくなる可能性がある。