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海洋や大気には揮発性有機ヨウ素化合物 (VOI) が存在し、その生成には生物の寄与が報告されている。北海道噴火湾の底層水においては、春季ブルーム後の4月から7月にかけてヨードエタンとヨードメタンの2種類のVOIの高濃度が観察されるという報告もある。本研究では、沿岸堆積物が海水中VOIの発生源であると推測し、噴火湾湾奥部における隔月ごと (2018年3月初旬から2019年6月) の海水および堆積物間隙水試料中VOIの定量結果から、その関係性を明らかにすることを目的とした。堆積物試料表層の間隙水中では、直上水中よりも高濃度のVOI が確認された。2018年の堆積物中VOI濃度の傾向は、 (1) 3月初旬で最も低く、(2) 3月中旬から8月まで高濃度を維持、(3) 10月から12月まで濃度減少、の3つのフェーズに分けられた。直上水では2週間から2ヶ月遅れで類似する傾向が見られた。2019年については、VOI濃度変化の傾向が前年と異なった。