日本地球化学会年会要旨集
2019年度日本地球化学会第66回年会講演要旨集
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G10 地球化学のための最先端計測
生物性・非生物性U(VI)-U(IV)還元におけるウラン同位体分別の機構解明
*佐藤 有汰留阿部 穣里波田 雅彦
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p. 41-

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抄録

バクテリア中の酵素による6価ウランの4価ウランへの生物性の還元では、238Uが4価ウランに分別される。一方、非生物性の還元では、6価ウランの溶液からの除去速度が遅い場合のみ、238Uが4価ウランに分別される。天然試料のウラン同位体比から太古の生物活動を理解するためにも、生物性および非生物性還元における分別機構の違いの解明は重要である。本発表では、多段階反応の同位体分別モデル(定常状態モデル)を導入し、ウラン還元に伴う同位体分別の機構を、理論計算と実験値を基に考察する。これにより、生物性還元では、基質の酵素への吸着が非平衡、あるいは6価-5価還元の逆反応の速度論的同位体効果が負となる可能性が示唆された。また、同位体分別を示す非生物性還元においても、定常状態モデルを用いた議論が可能であることを示す。さらに、計54種のウラン化合物に対して理論計算を行い、6価-4価間における最大の分別が約3‰となることを示した。

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