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生命圏の活動レベルは、地球表層での生元素(C, N, P, O, S)循環と密接に関連し大気組成(本講演では酸素O2、二酸化炭素CO2、メタンCH4に着目する)に影響するとともに、気候状態や水圏の化学状態を通して影響されてきた.しかしながら、地球史を通じた生命圏の活動レベルやその大気組成への影響についてはまだよくわかっていない.とくに、地球生命圏は、エネルギーや電子供与体(H2O, H2, Fe2+, H2S,…)および栄養塩といった制限要因を克服することで、それまでとは質的に異なる物質循環(ひいては大気組成)を形成してきたと考えられるが、物質循環に基づく理論的見地からこの問題を定量的に扱う研究はほとんど行われていない.本講演では、太古代から顕生代の大気進化について、各時代の生命圏活動レベルに焦点を当てながら研究成果を紹介する.