鉱物及び燃焼起源のエアロゾルは、海洋表層へと重要な栄養塩(鉄)を供給し、海洋生態系および気候へ影響を与える。本発表では、屋外観測、室内実験、大気および海洋物質循環モデルによって近年得られた知見をまとめた。最新の屋外観測および室内実験結果では、燃焼起源エアロゾルが、鉱物起源に比べてかなり高い鉄溶解率を示した。最先端の数値モデルでは、鉱物エアロゾルに加えて、燃焼起源エアロゾルが、大気から海洋への溶存鉄供給量の20%程度寄与した。そこで、海洋物質循環モデルを用いて、燃焼起源による溶存鉄の海洋生態系への影響が評価された。その結果、モデルにより応答の相違はあるが、鉱物エアロゾルと比較して、燃焼起源エアロゾルは、より効率的に植物プランクトンの成長を促進することが示唆された。それらの結果から、燃焼起源エアロゾルによる海洋施肥効果をより正確に予測するために今後必要な研究に関して議論する。