西南日本の有馬―紀伊地域に湧出する深部流体について、その組成(特に希土類元素)に関する統計解析を行い、流体の起源や上昇過程に関わる独立した要素抽出を試みた。統計解析の中でも、独立した特徴の抽出に優れた多変量解析である独立成分分析(ICA)および白色化されたデータのクラスター分析(whitened data-based KCA)を用い、まず希土類元素組成の解析、次いで主要溶存元素組成を含めた解析を行い、それらの結果を酸素・水素・ヘリウム同位体比との対応関係を解析した。その結果、主に4つの独立プロセスがこの地域の深部流体生成に関わっていること、およびそのうちの1つないし2つの要素は、沈み込むフィリピン海スラブ深度と関連があることが示された(Iwamori et al., Geochemical Journal, 2020)。