主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2020年度日本地球化学会第67回年会講演要旨集
回次: 67
開催日: 2020/11/12 - 2020/11/26
p. 142-
能登半島の珪藻泥岩中に珪質コンクリーションが産出するが,その成因は分かっていない.本研究では,珪質コンクリーションを鉱物学的に記載し,地質学的な産状,熱力計算による解析に基づいて,これらの形成について考察を行った.XRD分析の結果,珪質コンクリーションと珪藻泥岩中の微化石のいずれもopal-Aおよびopal-CTを含んでおり,Cr(101)面のd値に違いが見られた.d値が相対的に小さい母岩中のopal-CTは,深い場所で埋没続成によって形成されたのに対し,d値が相対的に大きい珪質コンクリーション中のopal-CTは浅い場所で形成されたと考えられる.また,化学平衡解析の結果,海水では淡水と比べてより多くのシリカが溶存し,特にNa-Si錯体やMg-Si錯体の寄与が大きいことが明らかとなった.以上より,珪藻泥岩が深い深度まで埋没後隆起し,間隙水が淡水環境に変化することに伴って珪質コンクリーションが形成されたと考えられる.