ノルム計算や酸化還元状態の推定など、地球化学研究の様々な場面で湿式分析法による二価鉄の分析が行われている。しかし、湿式分析法による二価鉄分析には、試料分解中の酸素との反応により、二価鉄量に過小値を与える問題点がある。そこで本研究は、大気雰囲気下でも精度及び確度の高い分析値を得ることを目指し、滴定法による二価鉄分析について、試料処理の各過程の分析条件を再検討し、最適化を行った(Nakamura et al., 2020)。二価鉄の質量分率が最大となる分析条件(分解温度・分解時間・試料量)を検討した結果、試料量が多いほど二価鉄の質量分率が大きくなることが明らかになった。これは試料量が多いと、分解中に発生する蒸気による泡が溶液を覆うことで溶液と大気の接触が防がれ、二価鉄の酸化を最小限にできるためと考えられる。この結果を検証するため、既知量の二価鉄による収率実験および試料への高純度二酸化ケイ素の添加実験を行った。