始原的呼吸機構の遺伝学的解析に向けたParageobacillus thermoglucosidasiusにおける一酸化炭素酸化能欠失株の創出とその性状

抄録

水素生成型一酸化炭素 (CO) 酸化菌は、多くの生物にとって有毒なCOガスをクリーンな水素に変換することでエネルギーを得る。本反応は最も始原的な呼吸様式の一つであると考えられているが、その遺伝学的知見は限られている。Paragebacillus thermoglucosidasiusは、ごく最近水素生成型CO酸化菌として報告された好熱性従属栄養細菌である。本研究では、本種における本始原的呼吸機構の遺伝学的解析の基盤構築を目的として、マーカーレス遺伝子欠失法を用いて水素生成型CO酸化遺伝子群欠損株を作製した。作製した遺伝子欠損株の性状を調べた結果、いずれの欠損株でもCO酸化および水素生成が認められず、水素生成型CO酸化遺伝子群はいずれも本種における水素生成型CO酸化に必須であることが明らかとなった。本研究で得られた株は、本呼吸機構が本種の代謝やほかの呼吸機構へどのように影響するか調べるための基盤として今後応用可能である。