静岡県中西部にある温泉用掘削井からはメタンを含む付随ガスを採取できる.先行研究での炭素安定同位体比分析から,これらのメタンは微生物起源であると示唆された.しかし,微生物によるメタン生成経路の詳細は不明な点が多い.そこで,微生物によるメタン生成に直接関与するメチル補酵素M還元酵素をコードする機能遺伝子を解析した.その結果,水素資化性メタン生成菌及び酢酸資化性メタン生成菌の機能遺伝子が検出された.定量PCRによる解析ではアーキア中の72%から96%がメタン生成菌であることが示された.特に,地下水の塩濃度が高いサイトでは水素資化性メタン生成菌の遺伝子のみが検出された.これは,高塩分環境が酢酸資化性メタン生成菌を阻害したためだと考えられる.一方,地下水の水温が低いサイトでは酢酸資化性メタン生成菌の遺伝子が優占していた.これは,酢酸資化性メタン生成菌の生育温度が低いことが原因だと考えられる.