日本地球化学会年会要旨集
2020年度日本地球化学会第67回年会講演要旨集
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G4 初期地球から現在までの生命圏の地球化学
14Cおよび希ガス同位体を用いた白馬八方蛇紋岩温泉メタンの起源研究
*須田 好阿瀬 貴博宮入 陽介横山 祐典松井 洋平上田 修裕齋藤 拓也佐藤 友彦澤木 佑介中井 亮佑玉木 秀幸高橋 浩森川 徳敏
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p. 57-

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抄録

本研究では放射性炭素(14C)濃度および希ガス同位体組成を用いて、蛇紋岩に関連したメタンの炭素源および生成された場所の制約を行った。分析試料は、蛇紋岩体直上に位置する白馬八方温泉から採取した。14C分析の結果、メタン中の14C濃度が検出限界付近であるのに対して、揚湯パイプ壁面に形成した炭酸塩中には相当な量の14Cが含まれていた。炭酸塩は温泉水中の溶存無機炭素(DIC)から沈殿したと考えられるので、DICの14C濃度もメタンよりはるかに高いことが示唆される。このことから、温泉水中のDICはメタンの主要な炭素源ではないと考えられる。14C濃度が低い(すなわち/もしくは滞留時間が長い)ことから、メタンの炭素源の候補としてマントルや地殻由来の地球深部起源炭素が挙げられる。白馬八方温泉試料の希ガス同位体データとメタンの地球化学データを組み合わせた解析により、白馬八方の蛇紋岩メタンはマントル炭素ではなく沈み込んだ海洋地殻由来の炭素から生成されたことが示唆された。

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