本研究では、西南極アムンゼン湾沖で採取された鮮新世温暖期の海底堆積物を対象として、Fe-Mn水酸化物中のPb同位体比からアムンゼン湾沖の海水Pb同位体比の復元を試み、鮮新世温暖期における西南極大陸氷床の縮小の有無あるいは時期について評価を行った。はじめに、Fe-Mn水酸化物の抽出時における砕屑物粒子の潜在的なコンタミネーションの問題を踏まえた抽出方法を検討した。その結果、0.05M塩酸ヒドロキシルアミンと2.62M酢酸(pH 4に調整)を30:70wt%で混合した溶液をさらに超純水で10倍希釈した溶離液で、試料1 gに対して溶離液量8 g、抽出時間を5 minとした条件でFe-Mn水酸化物を溶出した方法が最も適していることがわかった。発表では、この方法を適用して得られたアムンゼン湾沖の海水Pb同位体比の結果をもとに、鮮新世温暖期における西南極大陸氷床の縮小の有無あるいは時期について議論する。