主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2020年度日本地球化学会第67回年会講演要旨集
回次: 67
開催日: 2020/11/12 - 2020/11/26
p. 87-
本研究では,小惑星リュウグウの熱史とそれに伴う固体有機物の化学進化を理解するため,熱変成を経験した炭素質CMコンドライトであるJbilet Winselwan隕石中の酸不溶性有機物(IOM)の元素・同位体組成と化学構造を明らかにした。Jbilet Winselwan隕石のIOMのH/C, N/C, δ13CはTagish Lake C2コンドライトや熱変成を経験したCMコンドライトのIOMの値に近かったことから,水質変成後に400-500℃の母天体熱変成を経験したと考えられる。また,Jbilet Winselwan隕石のIOMのラマンスペクトルは始原的なCM2コンドライトのIOMと類似し,Allende CV3隕石のIOMに記録されるような長期的な熱変成によるグラファイト化の痕跡は見られなかった。