日本地球化学会年会要旨集
2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
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G09 地球化学のための最先端計測法の開発、および、境界領域への挑戦
マルチターン飛行時間型質量分析計を用いた火山ガスのヘリウム同位体分析
*服部 佑樹秋山 良秀角野 浩史
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p. 144-

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抄録

火山ガスのヘリウム同位体比は火山活動を監視する指標として期待されているが,その測定には高い感度と質量分解能が必要なことから大型の磁場型質量分析計が用いられており,オンサイト・リアルタイムの分析は困難である。そこで我々は,可搬型・高質量分解能のマルチターン飛行時間型質量分析計(MULTUM)を用いたヘリウム同位体分析の手法を開発している。従来型のMULTUMでは火山ガス中の微量の3Heを検出することは不可能であったが,質量分析計を真空ポンプから切り離して希ガス分子を排気せずに滞留させる分析法(静作動方式)と信号処理におけるイオンカウンティング法の導入などにより,感度は総じて約5000倍に向上し,1–10 cc程度の試料で火山ガスのヘリウム同位体比を誤差10%で測定できるようになった。MULTUMを用いて測定した火山ガス試料のヘリウム同位体比は,磁場型質量分析計による測定結果と分析誤差の範囲内で一致することが確かめられた。

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