鉄隕石中のスズ同位体分析法の開発と精製時に起こる非質量依存の同位体分別

抄録

同位体効果には、質量依存効果と核体積効果などで生じる非質量依存効果が存在し、非質量依存効果では奇数質量数の同位体が偶数質量数の同位体とは異なる挙動を示す。隕石中で見られる同位体異常(Ca、Ti、Cr、Srなど)は元素合成過程では説明ができず、非質量依存である核体積効果に似た特徴が観察されている (Bigeleisen and Mayer,1947; Urey,1947; Fujii,1989)。溶媒抽出法では、核体積効果と非質量依存型同位体分別(MIF)の結果に類似性が見られ(Fujii et al., 2006)、隕石中で発見される同位体異常の解明には溶媒抽出法は有用な実験手法であると考えられる。本研究では溶媒抽出法において核体積効果の影響が大きく観察されるSnに着目し、そこで得られた情報を鉄隕石中のSnの分析結果に応用することを目的とした。