日本地球化学会年会要旨集
2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
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G03 海洋の地球化学
放射性セシウムを用いた西太平洋境界流域における亜熱帯モード水の把握と鉛直混合の定量
*祝 嗣騰張 勁松野 健堤 英輔神林 翔太高山 勝巳井上 睦夫長尾 誠也安田 一郎
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p. 33-

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抄録

亜熱帯モード水を起源とする海水(STMW*)は、地形に沿って上昇する西太平洋境界流域(WPBCA)において、物質・エネルギーの交換を通して、浅層の生態系に影響を与える。しかしながら、海水の混合によってSTMW*の「モード」が不明瞭になり、WPBCAでの直接観測は困難である。本研究では、137Csを用いてWPBCAにおけるSTMW*の存在の直接的な証拠を初めて示し、鉛直混合の度合いを定量した。その結果、ルソン海峡では強い鉛直混合があり、比較的短い時間スケールでSTMW*の割合は半分以下になっていた。一方、対馬海峡におけるSTMW*の保持率は高く、流れてくる途中では鉛直混合の影響をあまり受けていなかったことが示唆された。観測された拡散係数と時間積分された情報が得られる化学トレーサーを用いて、WPBCAおよび周辺海域における浅層/有光層への亜熱帯循環中の栄養塩寄与量が定量できることから、生態系モデルの改善につながり、さらに全球規模の他の境界流域にも応用が期待できる。

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