主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
回次: 68
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/15
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関東地方の地下に分布する更新統下総層群には、中―後期更新世の間氷期、すなわち海洋酸素同位体比ステージ5e・7e・9・11に形成された古東京湾の海成層が含まれている。これらの間氷期は、現在のアナロジーという観点から注目されている。しかしながら、下総層群は各層準に共通して産出する海洋性の微化石が少ないため、各間氷期に形成された古東京湾の環境を直接比較することは難しかった。本研究では、大宮台地南部で掘削されたGS-UR-1コアに含まれる下総層群の海成層からアルケノンを検出し、古水温を求めた。各間氷期のアルケノン古水温は22.9℃~25.9℃の範囲で変動し、それぞれの最高温度は、現在の東京湾の表層堆積物に記録された値よりも高く、完新世気候最適期末期の値と同程度であった。下総層群から検出されたアルケノン古水温は、古東京湾の環境変動を解明する重要なツールになると期待できる。