主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
回次: 68
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/15
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地下水流動の正確な把握には同位体トレーサーを用いた手法が有用である。本研究では、従来用いられてきた同位体トレーサーに加えて、ウラン同位体(234U/238U比)の新たな地下水トレーサーとしての有用性を検討するため、低流動性および還元的な北海道幌延地域の深部地下水を試料とし、地下水における放射能比の変動幅の把握を試みた。分析の結果、地下水中のウランが放射非平衡状態であり、地下水深度ごとに放射能比の値が異なっていたことから、地下水トレーサーとしての利用可能性が示唆された。また、地下環境の長期安定性の把握を目的とし、帯水層の割れ目に生成した炭酸塩試料の生成年代を推定した。算出した放射能比の値から、炭酸塩沈殿は少なくとも約百万年前よりも最近のイベントにより生成したと推定される。