日本海堆積物は、アジア大陸起源の風成塵や日本列島河川懸濁物といった様々な起源を持つ陸源砕屑物の混合物である。堆積物に含まれる風成塵の供給源を理解することによって、過去の風系やモンスーンの変動を復元することに役立てることができる。我々は統合深海掘削計画(IODP)U1425地点の堆積物をシルトと粘土画分に分けた上で粉末X線回折法(XRD)による鉱物半定量を行い、その結果のXRD回折パターンに対しParallel Factor Analysis (PARAFAC) による統計的端成分分離を施した。その結果、風成塵供給源としてはタクラマカン、ゴビ、オルドス砂漠域、河川懸濁物として日本列島が同定され、その寄与率が求まった。ここで分析された試料セットの一部について、シルト・粘土画分の両方について、さらに鉛同位体比の測定も行った。発表においては、鉱物学的に推定された各砕屑物端成分の寄与率と鉛同位体比との間の相互関係を検討し、陸源砕屑物供給源推定のより精密な運用について議論したい。