主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
回次: 68
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/15
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国際宇宙ステーション曝露部を利用したアストロバイオロジー宇宙実験たんぽぽ2は, 446日間の宇宙曝露を終えて2020年10月27日に船内への回収が完了した。たんぽぽ2のサブテーマの1つである小天体有機物の宇宙曝露実験では,小惑星や彗星などの表面における宇宙風化が有機物に与える影響を明らかにすることを目的とし,隕石有機物やその模擬物質の宇宙曝露実験を行った。曝露試料は,炭素質コンドライト,Murchison隕石の不溶性有機物(IOM),また隕石有機物の模擬物質として,合成模擬隕石有機物及びフミン酸を用いた。今回は,STXMによるC-XANES分析および反射赤外スペクトル測定の結果を報告する。特徴的な結果として,Murchison隕石IOMおよび合成模擬隕石有機物のC-XANES分析では,芳香族のピークの相対強度が増加し,C=O およびC(=O)Oのピークの相対強度の減少が見られた。これらの変化は主に紫外線の影響によるものと考えられる。