日本地球化学会年会要旨集
2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
会議情報

G06 宇宙化学:ダストから惑星、生命へ
Fe-Ti酸化物を用いたPb-Pb年代測定法の開発
*伊藤 健吾飯塚 毅
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 77-

詳細
抄録

二つのU-Pb放射壊変系列を用いたPb-Pb年代測定法は隕石の絶対年代を100万年以下の高精度で決定することができる唯一の方法である.本発表では,隕石中で新たにPb-Pb年代測定の対象鉱物としての可能性が示されたFe-Ti酸化物を用いた年代測定の結果を報告する.本研究で年代値既知の地質試料に対して年代測定を実施したところ,原生代中期のDuluth岩体斜長岩中Fe-Ti酸化物から1107±102 [Ma](Zrn U-Pb年代:1099.0±0.6 [Ma])の信頼性の高い年代を得た.また,太古代初期のAcasta地域角閃岩中Fe-Ti酸化物から変成年代2181.5±18.6 [Ma]を得た.今回得た結果は,ジルコンの年代4.03 [Ga]より若く,アパタイトの年代1936±28 [Ma]よりも古い.得られた年代からFe-Ti酸化物は閉鎖温度が高く,リン酸塩鉱物と比べより過去の記録を残す年代計である可能性が示された.

著者関連情報
© 2021 日本地球化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top