主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2022年度日本地球化学会第69回年会講演要旨集
回次: 69
開催日: 2022/09/05 - 2022/09/16
p. 169-
海洋における鉄制限は高次生物に及ぶ可能性も指摘されており、海洋生態系を介したFe循環解析に寄与する地球化学トレーサー開発が必要である。これまでの研究で、生物組織中δ56Feは、同一種・または近系統種間で海域に依存せず類似の値を取る特徴があり、生理的作用に基づく分別評価の重要性が示されている。本研究では、個体内での同位体分別機構を制約するため2種の海水魚の臓器別δ56Fe分析と、X線吸収微細構造法 (XAFS) による化学形態分析を実施した。臓器重量と濃度から鉄負荷量を計算したところ、Fe画分の多い臓器・組織は順に普通筋、卵巣、肝臓であった。肝臓のδ56Feは両種とも普通筋に対して0.5 – 0.8‰高値を取った。XANES領域の線形結合フィッティングから、肝臓中のFeはフェリチンとして多く存在することが示唆された。δ56FeとXANESの結果から体内のFeに占めるフェリチンの寄与率を推定することで、Fe化学種の組織間での不均質な分布による同位体変動の程度を推定することが可能となった。