日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G6 宇宙化学:ダストから惑星、生命へ
XANESによる化学種解析と層状ケイ酸塩中の元素組成に基づくリュウグウ母天体の水環境の推定
*河合 敬宏福士 圭介菅 大輝上椙 真之山下 翔平中田 亮一小池 みずほ吉田 英人松本 恵中村 智樹大浦 正樹高橋 嘉夫
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p. 106-

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抄録

C型小惑星リュウグウの母天体は、揮発性元素を多く含み、液体の水が豊富に存在していたと考えられ、地球の水や有機物の起源を考える上で重要な研究対象である。リュウグウ母天体の水質変成の際に、水相の陽イオンがスメクタイト層間に吸着するが、Fukushi et al. (2019)で示されたように、層間にどの陽イオンが保持されるかは、共存する水相中の各種陽イオン濃度と選択係数Kに依存する。よって、各種分析法で求めた層間陽イオン比から、水質変成当時の水層中の陽イオン組成を推定できる。これらの溶存イオン組成は、水質変成時の水相のpHやEhにより変化すると考えられる。そこで本研究では、リュウグウ試料中の種々の元素のXANESによる化学種解析と層状ケイ酸塩中の元素組成に基づき、リュウグウ母天体の水環境を推定することを試みた。バルクXANES測定の結果、(i) 水/岩石比の低下により生成した塩化物化学種はNaClでなくMgCl2が主であること、(ii) NaおよびKの大部分はサポナイト吸着態として存在すること、(iii) Caの約15%がサポナイトに吸着態として存在することなどが分かった。これらの結果から、Na、K、Caがサポナイト層間に存在することが分かり、EPMA分析と組み合わせて考えることで、サポナイト層間の陽イオンの組成比を推定できる。これらの結果とスメクタイトに対する各陽イオンの選択係数、水/岩石比、炭酸塩の溶解度積など考慮することで、リュウグウ母天体中の水環境の情報を推定する。

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© 2023 日本地球化学会
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