亜硝酸ガス (HONO) は昼間容易に光分解してOHラジカルを生成し、対流圏の光化学反応を駆動する。都市大気中のHONOの主要供給源として, ①自動車や工場からの直接排出, ②一酸化窒素 (NO) との均一反応, ③二酸化窒素 (NO2) との不均一反応、の3つが考えられる。本研究は、三酸素同位体組成 (Δ17O値) を指標として、HONO、NO、NO2の実測に基づいてHONOの主要発生源を解明することを目的とした。HONOの濃度とΔ17O値の関係について昼夜別・季節別に解析し、都市大気中のミッシングソースを探った結果、昼と夜のいずれにおいてもNO2由来のHONOが6割程度占める必要があることが分かった。したがって、NO2の不均一反応は都市大気中のHONOの主要起源の1つとして機能しており、これがミッシングソースを説明できる可能性が大きい。