日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G1 大気とその境界面における地球化学
三酸素同位体トレーサーを用いた都市大気中窒素酸化物の反応過程追跡
*中川 書子織田 舞保角皆 潤伊藤 昌稚阮 文鏵許 昊山神 真紀子
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p. 11-

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抄録

亜硝酸ガス (HONO) は昼間容易に光分解してOHラジカルを生成し、対流圏の光化学反応を駆動する。都市大気中のHONOの主要供給源として, ①自動車や工場からの直接排出, ②一酸化窒素 (NO) との均一反応, ③二酸化窒素 (NO2) との不均一反応、の3つが考えられる。本研究は、三酸素同位体組成 (Δ17O値) を指標として、HONO、NO、NO2の実測に基づいてHONOの主要発生源を解明することを目的とした。HONOの濃度とΔ17O値の関係について昼夜別・季節別に解析し、都市大気中のミッシングソースを探った結果、昼と夜のいずれにおいてもNO2由来のHONOが6割程度占める必要があることが分かった。したがって、NO2の不均一反応は都市大気中のHONOの主要起源の1つとして機能しており、これがミッシングソースを説明できる可能性が大きい。

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