日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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S2 変わりゆく極域:地球化学から見えてきたこと
完新世中期温暖期での南極半島氷床の千年スケールの不安定性:低緯度気候変動とのテレコネクション
*池原 実加藤 広大加藤 悠爾関 宰Weber Michael E.
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p. 209-

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抄録

南極半島は地球上で最も温暖化が進んでいる地域の一つであり、過去半世紀の間に主に大気の温暖化によって氷床が後退している。しかし、観測データは過去数十年しかカバーしていないため、完新世のより長期的な百年〜千年スケールの気候と南極氷床の歴史は解明されていない。本研究では、過去5,000年間の南極半島氷床北西部の古環境を復元することで、氷床後退と低緯度気候変動との関連を示す直接的な証拠を示す。南極半島北西の西ブランスフィールド海盆から採取されたコア(KH-19-6-PC01)の解析によって、約5000年前から3200年前のいわゆる完新世中期温暖期には、漂流岩屑が多産する複数のイベントが検出され、脂肪酸バイオマーカー水素同位体比もこの地域における氷床融解水の流入量の増加を示した。これらの結果は、完新世中期に南極半島氷床が著しく融解したことを示唆している。この時代には、熱帯域ではラニーニャモードが発達していたことが報告されており、アムンゼン海低気圧の強化と南極環状モード(SAM)の正偏差が示されることから、テレコネクションによって低緯度から南極半島周辺への暖気移流が促進されたことによって、南極半島氷床の融解が増加していたと解釈される。

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