日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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S2 変わりゆく極域:地球化学から見えてきたこと
最終間氷期における南極氷床と海洋の変動の関連解明
*飯塚 睦関 宰
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p. 210-

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抄録

将来、地球温暖化が進行すると、南極氷床の融解は加速し、海水準上昇につながる可能性がある。最近の観測によると、南極氷床の質量減少は主に海洋強制力(例えば、表層の海水温上昇や南極大陸の大陸棚への暖かい海水(CDW)の侵入など)によって引き起こされることが示唆されている。したがって、将来の海水準予測の高精度化には、海洋と南極氷床の相互作用を理解することが極めて重要である。しかし、温暖な条件下でのこれらの関連に関しては、理解が不十分であり、予測の不確実性が高い。これを解決するには、現在よりも温暖であった最終間氷期(130-115 千年前)における南極氷床と南大洋の関連を解明することが役立つ。これまでの研究では、最終間氷期の間に南極氷床の質量が著しく減少したことが示唆されている。しかし、最終間氷期の南極氷床と南大洋の動態は、高解像度の古気候記録がないため、十分に理解されていない。そこで、本研究では、IODP第382次航海でスコシア海から採取された海底堆積物コアU1536の地球化学的・微古生物学的プロキシの分析に基づいて、最終間氷期間中の表層海水温、氷床融解水の放出、CDWの流入の変動を高時間分解能(170年)で復元した。その結果、最終間氷期において、表層海水温の上昇とCDWの流入強化の時期に、顕著な融解水放出イベントが検出された.これは、海洋と南極氷床の変動が密接に関係していることを示唆している。さらに、南極氷床の融解水放出イベントの時期は、報告されている最終間氷期の海水準変動の記録と一致しており、最終間氷期の海水準上昇に南極氷床の質量損失が大きく寄与していたことを示唆している。

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