前生物的環境における単糖類生成の場として、隕石母天体での水質変質が挙げられる。隕石母天体内では糖を含む有機物が生成する反応であるホルモース型反応が起こると考えられており、その進行は様々な要素によって左右される。本研究ではホルモース型反応に対する鉱物の影響に焦点を当て、模擬実験を実施した。実験は模擬試料を作成し、それを誘導体化したのちにGC/MSで分析するという形で行われた。なお、本研究では単糖類の中でも炭素数4~6のアルドースを分析対象としている。実験の結果、系にかんらん石が存在する場合に、アルドース生成反応の進行速度が速まることが観察された。これよりかんらん石がホルモース型反応に対して触媒作用を持つことが示唆されるが、その要因はかんらん石の表面構造や変成作用など複数考えられる。この触媒能をより詳細に調べるため、蛇紋石など他の鉱物がホルモース型反応に及ぼす影響についても同様に調査を行った。