日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
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G8 地球深部から表層にわたる元素移動と地球の化学進化
日向灘・種子島沖・喜界島沖海底泥火山表層堆積物中の流体の起源
*山田 貫太郎土岐 知弘大塚 宏徳板木 拓也村山 雅史井尻 暁
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p. 185-

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抄録

海底泥火山は地下深部から供給された流体を放出している。日本近海では紀伊半島沖と種子島沖に広く分布している。近年の調査で日向灘と喜界島沖にも確認され、2023年8月に行われた学術研究船「白鳳丸」の調査では、これらの泥火山から堆積物コアを採取し、間隙水中のCl-、Li、Na濃度および水の水素・酸素安定同位体比(δD、δ18O)を測定した。 Cl-濃度は、深度が深くなるにつれて低下し、特に喜界島沖では海水の70%まで低下していた。これは、コア採取深度より深部で淡水が混合した低Cl-濃度流体が、海底面まで供給されていることを示す。また、全ての泥火山で間隙水のδD値が低くδ18O値が高くなる粘土鉱物の脱水由来の水の特徴を示した。Li濃度は深度が深くなるにつれて上昇し、低Cl-濃度の泥火山では特に高い値を示した。Na/Li地質温度計によって求めた流体の経験温度はすべての泥火山で約140℃であり、粘土鉱物の脱水由来の水が地下数 kmから供給されていることが示された。

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