日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
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G4 初期地球から現在までの生命圏の地球化学
四種硫黄同位体分析による原生代末期の硫黄循環変動:原生代-顕生代の34εおよび33λ値の推定
*栗原 在澤木 佑介中川 麻悠子佐藤 友彦上野 雄一郎
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p. 86-

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抄録

硫黄同位体は、地球史を通した硫黄循環を理解するために利用されてきた。硫化物と硫酸塩の間の見かけの同位体分別は、地球の酸化に応じて増加しており、微生物硫酸還元(MSR)の同位体分別係数が変化したことが一因と考えられている。しかし、先カンブリア時代には硫酸塩が乏しいため、正確な分別係数の見積もりは困難であり、また原生代の堆積岩を用いて希少な33S、36Sの分別係数を求めた例はほとんどない。本研究では、硫酸塩の分析なしに、黄鉄鉱の同位体比のみを用いてMSRの分別係数(34ε)、質量依存指数(33λ、36λ)および硫酸の初期δ34S値(δ34Si)を推定する解析法を確立した。この手法を現代の堆積硫化物の同位体比に適用すると、推定されたδ34Si値は、硫酸塩の測定値と一致し、本手法の妥当性が示された。原生代の多種硫黄同位体比記録を本手法で再解析した結果、顕生代に比べて顕著に低い分別係数が推定され、これがエディアカラ期を境に増大することが示唆された。

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