地球史で最初に大気中の酸素濃度が急上昇した大酸化イベントの直前期、27-24億年前の海洋で形成した頁岩中の黄鉄鉱から異常に低い鉄同位体比(δ56Fe=~-3‰)が見つかっている。この事実は大酸化イベント直前期に海洋の鉄循環と酸化還元環境が大きく変化したことを示唆しているが、その関係性について十分に理解されていない。そこで本研究では、海底堆積物中で黄鉄鉱が生成する初期続成プロセスを再現する数理モデルを開発し、太古代-古原生代と類似の環境が見られるカリフォルニア沖のサンタバーバラ海盆の堆積物でモデルの検証を行った。また、鉄同位体効果のパラメータスタディにより、鉄還元時のΔ56Fe=~-2.5‰、黄鉄鉱生成時のΔ56Fe=~-0.5‰が最も観測と適合することを明らかにした。今後、このモデルと同位体効果を用いて大酸化イベント直前期の鉄同位体記録と酸化還元環境の変化の関係性を明らかにする予定である。