これまで、上空における大気中の物質の観測には気球やタワー、航空機などが用いられ、大気化学分野では多くの重要な知見が得られてきた。しかし近年、様々な地点の大気層を安価かつ手軽に観測できる手段としてドローンが注目され始めている。本講演では、秋田県立大学で開発されたドローンシステムを用いて観測された温室効果ガスと大気汚染物質の分布の特徴について報告する。 温室効果ガスのひとつである二酸化炭素(CO2)を観測するために、大潟村において地上から500 mまでの飛行観測を実施した。その結果、夏季には上空よりも地上付近でCO2濃度が低くなり、寒候期にはこのCO2濃度の鉛直勾配が小さくなる傾向がみられた。植生の豊富な夏季に光合成が活発化し、地上付近でCO2の吸収が起きていると考えられる。続いて3つの高度におけるCO2の水平濃度分布を調べた結果、夏季~初秋の方が、冬季・春季に比べて9地点間のバラツキが大きかった。このような季節性がみられる理由には、気圧配置および風の吹き方の違いが関わっていることが示唆された。 次に、エアロゾルの一種であるブラックカーボン(BC)の観測例も報告する。ドローン観測の際、プロペラの回転がBC濃度算出に与える影響を調べる必要があるため、線香を使って大気の流れを可視化する実験を行った。その結果、プロペラの回転による影響を無視できる高さに大気吸入口を設定し、2023年12月に大潟キャンパス上空で観測を行った。地上付近のBC濃度に比べて、上空ほど低くなることが分かった。