日本地球化学会年会要旨集
2025年度日本地球化学会第72回年会講演要旨集
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G9 地球化学の最先端計測法の開発と挑戦
ICP-MS/MSを用いた海洋試料中の233U/236U分析法の開発と人為的放出源特定への挑戦
*柴 裕太朗上田 修裕深海 雄介桑原 葵大野 剛
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キーワード: ICP-MS/MS, 人為起源U, 海藻試料
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p. 208-

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抄録

表層環境中のウラン(U)には、人為起源の放射性核種として236U、233Uが知られている。海水中のUは比較的均一に分布することから、汚染源を評価する同位体トレーサーとして人為起源Uが有用である。236Uは大気圏内核兵器実験だけでなく、原子力発電所での235U(n,γ)236U反応からも生成される。一方、233Uは大気圏内核兵器実験での235U(n,3n)233U反応のみで生成される。このことから、近年では、236Uに加え、233Uを用いた233U/236Uによる人為的汚染源解明に向けた研究が注目されている。そこで、本研究では、迅速かつ高精度な測定を可能とするICP-MS/MSを用いた海洋試料中の人為起源U同位体測定を試み、詳細な人為的汚染源の特定を目的とした。233U/236U測定より、236U/238Uが著しく高いヒジキ(長崎県)は大規模な核兵器実験が実施された太平洋核実験場(PPG)による影響を強く受けている可能性が示唆された。そして、海藻は海水よりも238U濃度が約100倍高いため、少量の試料でU同位体を調査する新たな環境試料として期待できる。

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