抄録
症例は61歳,男性.喉の違和感で精査し,胸部上部食道癌と診断された.胸腔鏡下食道亜全摘,3領域リンパ節郭清,開腹細径胃管作成・胸骨後経路頸部食道胃管吻合術を施行した.術後摂食障害のため施行したCT検査および上部消化管造影検査で胸骨柄による圧迫が胃管狭窄の原因と考えられたため,胸骨部分切除術を施行し通過障害の改善を認めた.胸骨後経路は胸腔内経路に比べ縫合不全が起きた場合の縦隔炎のリスクが低いことや,挙上胃に異時性癌が発生した場合のアプローチ法の容易さで優れるが,胸郭入口部が狭小の場合,再建臓器の通過障害や圧迫壊死の可能性があり,胃管挙上ルートの変更や胸鎖関節の切除が検討される.胸骨部分切除が胃管狭窄解除に有効であった1例を経験したので報告する.