2019 年 30 巻 4 号 p. 181-195
3次元地質モデルは基礎的な野外調査のデータと地質学の知識・解釈に基づく地質解析の結果として構築される地質情報の最終的な成果の1つである.日本情報地質学会では,その前身である情報地質研究会(1979年設立)の時代から3次元地質モデルの構築方法に関連する多くの研究論文が報告されてきた.本稿では,主に日本情報地質学会の論文誌・学術講演会・講習会などを通じて開発され,発展してきた3次元地質モデルの構築・可視化方法と地質境界面の推定方法に焦点をあてた.これらの研究成果は研究会時代から長年にわたりコンピュータの進化に合わせて,開発・改良・充実されてきた.モデル構築の数学的な原理は2000年頃までに開発された.つぎの10年で,3次元地質モデリングのための個別のソフトウェアや汎用GISのためのアルゴリズムが確立した.その後,研究・開発は実用化と普及に向かった.その間,地質境界面の推定のためのアルゴリズムも進化した.現在,これらの研究成果は実務で利用されている商用の3次元地質モデルリングソフトウェアの技術的基盤を提供している.最後に,モデルの作成者や利用者の視点から3次元地質モデルの現状と将来の展望を述べた.