地質学雑誌
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論説
紀伊半島中央部の三之公地域の秩父累帯から産したジュラ紀古世放散虫化石
柏木 健司丹羽 正和常盤 哲也
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2005 年 111 巻 3 号 p. 170-181

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抄録
紀伊半島中央部の秩父累帯のうち,構造的最上位を占める三之公コンプレックスは,秩父累帯全体の地質構造を議論する上で重要である.今回,時代未詳であった三之公コンプレックスにおいて,珪質泥岩からジュラ紀古世Toarcian前期と中期の,チャートからジュラ紀古世Sinemurian~Pliensbachianの放散虫化石群集を新たに得た.これまでの研究成果によると,紀伊半島中央部の秩父累帯のうち三之公コンプレックスの構造的下位に位置する6つの コンプレックスは,構造的下位に向けてジュラ紀中世から白亜紀古世中期に至る年代若化傾向を有する.三之公コンプレックスの放散虫化石年代は,構造的上位から下位への年代若化極性が,紀伊半島中央部の秩父累帯に全体として認められることを示している.
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© 2005 日本地質学会
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