地質学雑誌
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論説
房総半島安房層群最上部安野層の堆積様式-前弧堆積盆を埋積するタービダイト・システムの一例-
石原 与四郎徳橋 秀一
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2005 年 111 巻 5 号 p. 269-285

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抄録
房総半島に分布する安房層群最上部の安野層(鮮新統)は,主として半遠洋性泥岩の卓越するタービダイト・サクセッションからなる.一組の背斜・向斜軸を挟んで地層が分布するうえ,鍵層となる多くの凝灰岩層が挟在することから,タービダイト堆積体の形態および層相の側方変化を3次元的に解析することができる.主体を占めるタービダイト/半遠洋性泥岩の互層と,これにしばしば伴われるチャネル相とレビー相,スランプ相など特徴的な層相との関係が明らかになった.堆積相の側方変化様式と古流向から,安野層がチャネル・レビー・システムを主体とする下部と,チャネル・ローブ・システムを主体とする上部から構成される海底扇状地システムであることが判明した.さらに,上位になるほど,堆積の中心域が北方に向かって次第に後退したことが示される.
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© 2005 日本地質学会
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