抄録
山陰地域中部,宍道低地帯東部の海域,美保湾で行った音波探査記録に基づき,同低地帯東部の中海から美保湾にかけての後期更新世以降の発達史を明らかにした.音波探査記録と既存ボーリングデータを比較した結果,縄文海進以前および後期更新世に形成された3つの顕著な反射面が認められた.これより,後期更新世以降の地史を5段階に区分した.ステージ1(MIS 6)は,最終間氷期前で,海水準が低下していた時代である.ステージ2(MIS 5)は海水準が現在とほぼ同じ時代で,旧弓ヶ浜砂州が現在とほぼ同じ位置に形成され,砂州先端では潮流により海釜地形が形成された.ステージ3(MIS 4-3)では,ステージ2で形成された海釜地形を埋める堆積が起こった.ステージ4(MIS 2)では海水準が大きく低下し,更新統上面に凹地形が形成された.ステージ5(MIS 1)では,縄文海進以降に現在の堆積地形が形成された.