地質学雑誌
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論説
紀伊半島中央部,中期中新世宮滝岩脈:火道内でのマグマ・ミングリングとその意義
和田 穣隆藤田 千夏新正 裕尚
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2007 年 113 巻 7 号 p. 353-365

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抄録
紀伊半島中央部,奈良県吉野町に露出する宮滝岩脈の形成過程を再検討した.同岩脈は従来,多量の岩片を含むため火砕岩であると考えられてきた.今回,野外および鏡下での観察により,宮滝岩脈は流紋岩と安山岩が互いにミングリングし,また包有物として含まれる岩石からなることが明らかとなった.さらに花崗岩が流紋岩・安山岩に包有されるとともに,流紋岩中の花崗岩は安山岩に包有された上で包有されている.いずれの包有物とも不定形状をなし高温時に塑性変形を受けたことを示している.これらのことから,流紋岩・安山岩両マグマは花崗岩体と岩脈定置前に一旦ミングリング・断片化した後,さらにミングリングを続けながら上昇して宮滝岩脈を形成したと推定できる.
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© 2007 日本地質学会
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