地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
論説
西南日本外帯,熊野酸性岩類に含まれる赤色・無色・灰濁色ジルコンのU-Pb年代および微量元素組成と珪長質マグマの成因
折橋 裕二岩野 英樹平田 岳史檀原 徹新正 裕尚
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 113 巻 7 号 p. 366-383

詳細
抄録
Sタイプ花こう岩類に含まれるジルコンの組成的特徴とその珪長質マグマの成因との関連性を明らかにするために西南日本外帯,熊野酸性岩から抽出した無色・赤色ジルコンについてLA-ICPMSによるU-Pb年代および微量元素組成を新たに測定した.ジルコン結晶内のクラックや微細包有物の効果を取り除いたU-Pb年代は15.5-16.7Maであり,同一試料から得られたFT年代に比べ若干(約1 Ma)古い年代を示した.無色・赤色ジルコンのREEパターンは右上がりで顕著なCeの正異常・Euの負異常を示し,これまで報告された花こう岩類のジルコンのREEパターンと比べ顕著な違いは見出されなかった.しかし,同ジルコンと平衡共存する珪長質メルトのREE組成を見積もると,無色ジルコンの共存珪長質メルト組成は花崗斑岩の全岩化学組成のより分化したものと類似し,赤色ジルコンの共存珪長質メルト組成はアダカイト的な特徴を示した.このことは熊野酸性岩の起源として異なる2種類の珪長質マグマの存在を示唆し,この組成差は付加体堆積物の部分溶融度の差を反映していると思われる.
著者関連情報
© 2007 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top