地質学雑誌
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論説
手取層群で確認された三番目の海進相-岐阜県飛騨市古川町周辺に分布する手取層群に基づいて
松川 正樹福井 真木子小荒井 千人浅倉 努青野 宏美
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2007 年 113 巻 8 号 p. 417-437

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抄録
飛騨市古川町地域に分布する手取層群を下位より種村層,沼町層,杉崎層/栃尾層,太江層,稲越層に区分した.アンモナイトの産出により稲越層はHauterivian階~Barrremian階に対比される.また,杉崎層からも海生二枚貝類が産出するので,本地域の手取層群では2回の海進が認められた.種村層から稲越層への層序は,Tithonian期~Barremian期を示す.これにより,手取層群では,ジュラ紀中期のBathonian期~Oxfordian期,ジュラ紀-白亜紀境界のTithonian期~Berriasian期,白亜紀のHautervian期~Barremian期の3回の海進が認められた.稲越層から産するアンモナイトの類縁種と海生二枚貝化石の同種が中国黒竜江省東部の云山層から産出するので,Hautervian期~Barremian期に手取地域と中国黒竜江省東部は共に北からの海流の影響を受けたことが示された.
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© 2007 日本地質学会
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