地質学雑誌
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日本地質学会第116年学術大会 2009年 岡山 見学旅行案内書
四国中央部三波川変成帯のテクトニクス
岡本 和明青木 一勝丸山 茂徳
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2009 年 115 巻 Supplement 号 p. S37-S49

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抄録
三波川変成帯のテクトニクスは,四国中央部での地質学的,岩石学的研究により論じられてきた.しかし沈み込み帯深部で形成された三波川変成岩は上昇し,板状構造を呈して地表では帯状に分布している.そのため三波川変成岩のテクトニクスを理解にするには,上下境界の認定,源岩の起源,変成,源岩年代の決定が重要である.案内者を含む研究グループにより,大歩危地域に三波川変成岩と下盤の四万十帯相当層の境界が存在することが明白になった.さらに四万十相当層の変成条件が青色片岩相の温度圧力条件に達していることが明らかにされた.これは三波川変成岩が,沈み込み帯上面に沿って上昇したことを示す.三波川変成岩の上盤境界の特定は,詳細な年代学的研究により進められてきた.上盤境界が三波川変成岩の上昇に伴う低角正断層運動を起こしたことが明らかになった.源岩岩層単位の地質構造の解析から,三波川変成岩の内部構造は,付加体構造が複数回褶曲作用を受けている.そして,マントルウエッジからのテクトニックブロックやナップと考えられてきた中核部のエクロジャイト,角閃岩も,詳細な地質調査の結果,巨大海山(海台)や海山上の陸源細屑物質の付加体であることが明らかになった.
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© 2009 日本地質学会
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